2025年4月30日、商船三井(9104)は2025年3月期の決算を発表すると同時に、2026年3月期の業績予想も開示しました。その内容が市場予想を大きく下回り、株価は一時▲10%超の急落。果たして商船三井は今後どうなるのか?決算の中身や投資家の声、テクニカル分析も交えつつ、ファンダメンタルズと市場心理を整理していきます。
✅ 2026年3月期 業績予想の概要
指標 | 数値 | 前期比 |
---|---|---|
売上高 | 1兆7,000億円 | ▲4.3% |
営業利益 | 1,000億円 | ▲33.7% |
経常利益 | 1,500億円 | ▲64.3% |
当期純利益 | 1,700億円 | ▲60.0% |
主力のコンテナ輸送を含む海運市況の悪化や、米国の高関税政策などを織り込み、保守的な見通しとなっています。
📑 2025年3月期 決算のポイント
- 売上高:1兆7,754億円(前期比+9.1%)
- 営業利益:1,508億円(同+46.3%)
- 経常利益:4,197億円(同+62.1%)
- 当期純利益:4,254億円(同+62.6%)
- EPS(1株あたり利益):617.63円
🔍 決算内容の評価
- コンテナ船市況が堅調に推移:運賃水準が想定より高く、上振れ要因に。
- 自動車船も需要が高止まり:輸出回復とともに台数増加。
- LNG・タンカー事業は長期契約が収益を下支え。
- 営業利益率は8.5%と安定感ある水準を維持。
これらの要素により、2025年3月期は業績が大きく回復。特に経常・純利益の伸びは想定以上でした。
🔍 業績悪化の主な要因(2026年予想)
1. 米中貿易摩擦と高関税リスク
トランプ政権の再選を見込んだ保守的見通し。高関税政策が再び発動された場合、中国・アジア発の荷動きが停滞し、コンテナ輸送に直撃します。
2. コンテナ船市況の調整
過去数年の高運賃の反動で、2025年後半以降は需給緩和により大きく調整すると想定。
3. 燃料費・為替リスク
バンカー(重油)価格上昇や円高もコスト負担要因となっています。
📉 株価はどう動いた?
2025年4月30日時点、商船三井の株価は4,739円(前日比▲533円/▲10.11%)。PERは約4.28倍、PBRは0.65倍と依然として割安水準ながら、来期の減益・減配見通しを嫌気した売りが集中しました。
📈 テクニカル分析視点
- 株価は決算発表を受けて75日移動平均線を明確に下抜け、テクニカル的にも弱気トレンド入り。
- RSI(相対力指数)は30台後半まで低下し、短期的には売られすぎ水準に近づいています。
- 下値支持線は4,600円前後にあると見られ、ここを割り込むと4,200円付近までの調整も視野に。
- 一方で、短期反発局面では5,000円台の戻り売り圧力が強く、トレンド転換には材料が必要です。
📊 過去5年間の業績比較
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
2021年3月期 | 9,914億円 | ▲53億円 | 1,336億円 | 901億円 |
2022年3月期 | 1兆2,693億円 | 550億円 | 7,218億円 | 7,088億円 |
2023年3月期 | 1兆6,119億円 | 1,087億円 | 8,115億円 | 7,960億円 |
2024年3月期 | 1兆6,279億円 | 1,031億円 | 2,589億円 | 2,616億円 |
2025年3月期 | 1兆7,754億円 | 1,508億円 | 4,197億円 | 4,254億円 |
2026年3月期(予想) | 1兆7,000億円 | 1,000億円 | 1,500億円 | 1,700億円 |
💬 投資家の声(Yahoo!掲示板より)
強気派:
- 「割安だし、配当回復もあるはず」
- 「PER4倍台で放置されるのはおかしい」
弱気派:
- 「配当150円じゃ魅力ない」
- 「来期下方修正のリスクあり」
投資家の感情は割れており、楽観・悲観が交錯する状況です。
🧭 今後の注目ポイント
- 配当政策の修正:配当性向40%目安が維持されるか?
- コンテナ市況の下げ止まり:2026年中盤の需給改善に期待。
- 新事業の育成:環境対応船・港湾事業の進展に注目。
- テクニカル的な底打ち形成:4,600円水準を維持できるかがカギ。
✍️ まとめ
商船三井は2026年3月期、大幅な減益を見込む保守的な見通しを出しました。一方で、2025年3月期の決算は極めて好調で、コンテナ船やエネルギー輸送が収益を牽引しました。PBRやPERは依然として割安であり、中長期的には見直される余地があります。投資判断は、市況・配当・チャート動向を多角的に見ながら、慎重かつ柔軟に行いたいところです。
コメント